一月

一月が
やってきた


雪と共に
やってきた


あたりはやけに静かで
赤い実だけが
きょろきょろ
めずらしい景色を
見渡している


真っ白に
膨れた世界を
身体のなかに
ふくませて


そのしずかな世界を
わたしの肺のあたりの
うちポケットに


今のいままで
溶けないように
しまってた


でも
ロウバイが咲き始め
水仙が香り、
スズメが地面をウロウロし始めたかとおもうと、


まったく気づかないうちに


胸にしまった雪の塊は
なくなっていた


そして
少しずつ
若葉を目にすることになる


結んだ口元が緩むように
固い芽から生まれる若葉を


一月。
通りすぎようとするものと
これからやってくるもの

その境目にいて
まだ口には出さずに
大切に胸にしまう

厳かな月。