『あたまに 蝶々』


朝、忙しく歩くサラリーマンの男の子。
険しい顔で先を急ぐ。
綺麗な花や新緑にも目をくれず、
スタスタスーツの裾をひるがえし、


歩く歩く歩く。


でもしかし。


あたまに 花。


彼の頭のてっぺんに
ちいさな白い花束がのっていた。


鳥が落としていったのか。
春の風に吹かれたか。
粋な猫のはからいか。
  

彼の知らぬ間に、
あたまの上は、花畑。


そのうちに
花の匂いに誘われて、蝶々がやってくる。
ちいさな蝶々、スーツの裾はヒラヒラヒラ。


そうか、


目には見えないだけで、
頭のうえは
ちいさな庭か。


そして
そこには


蝶々が

わたしくしとは
全く関係なく、
きもちよさそ〜に
あっちふらふら、こっちふら、


ツーツーツー
っと、
とんでるんだ。