秋におもう。

あっという間に、あたりは秋の気配。


少し前までは、まだ秋に慣れないためか、
すこし身体がどぎまぎしていたのに。


りんご、栗、さつまいもを食べ始めたとたん、
トーストにバターとジャムを塗ったとたん、
前髪が伸び始めた頭にベレー帽をかぶったとたん、
久しぶりにdvdでもと、妹に「やすきよ漫才大全集」を借りたとたん、


私の中に
わぁわぁわ〜と、秋がやってきた。



金木犀の香りが、秋のドアをあけたとたんに
「おかえり」って言ってくれるみたいに迎えてくれて、
わたしは、
「今年の夏は暑かったよ。でも楽しかった」
と報告。




秋におもう。



遠くにいる友達のことをおもう。
元気かな、どうしてるかな。


新しい環境で奮闘してる人をおもう。
「あの顔」をしてるのかな。
へとへとになってないかな。


メールもできるし、
フェイスブックを開ければ、
どうしているかは手にとるように分かるのは知ってる。




でも、思いを寄せる。




心でたくさんおにぎりをつくるように、
炊きたてのピカピカのごはんをなるべく潰してしまわないように、
ふわふわと、
ようやっと馴染んできたと思われるわたしの両手で、



思いを寄せる。




秋がきたね。
金木犀が香ってきたよ。
ごはん、おいしいね。
今日も元気でいますように。
また手紙かくね。



海の底に生きている色彩り豊かな世界のことと一緒に、
毎日顔を洗うたびに、ふ、とおもう。



これって私の中の
日本人観なのかなぁ。