とおいところ
寒い日がつづいています。
小学生の生活を
春になる前の記憶を
このときのきもちを
ひとり
目の裏にしまう日々。
目で見ながら
こころにうつす。
目の前のひとの
きれいな顔を
きれいな笑い顔を
わたしはわたしに
いまのよかった
いまのこの人の顔
さいこうに。
と
そして
どんなに心にうつしても
その一秒の刻印は
日々に溶け、二度と出会えないことを
同時に覚悟しながら。
とおいところで
花が咲くのかな
とおいところで
だれかのおとしものを
だれかがひろう
大将と呼ばれたニレの木よ
真夜中にさけんで
風吹かせ
命の太鼓
ならしてよ
どの命にも届く
命の太鼓
母が子をおもうような
子が母をおもうような
足のうらに伝わる400億年を
頭の上に広がるまだ見ぬあなたへ
どの命にも届く
命の太鼓