はこ。


届けたいひとがいて
届いたちいさな箱。


そのちいさな箱を
もってうまれてきた。


あのひとも
このひとも
そのひとも


ふたりがわたしたはずの
ちいさな箱は
ひとのいきているあいだに
いろがふえ
かぜがふえ
おとがふえ
ひかりがふえ


にぎやかな
箱となって
そのひとの
くらしを
豊かにしてゆく。



でも
どんなに賑やかな
愉快な
箱になっても


だれかに手渡すときに
届けたいひとに
届けるときには


そのなかに
入っているものは


とても
とても
しずかな
きもち


ひとつだけ。



うまれてきてくれて


ありがとう


という


ほんとうに
ほんとうに


しずかな


ひとつの
きもちだけ。